親が亡くなると、相続手続をしなければなりません。相続人を調査し、相続財産を調査して初めて、相続人との間で遺産分割協議が始まります。遺産分割協議は、家族や親族との財産の取り合いの様相を呈することも珍しくありません。「いくら欲しい」、「あの土地が欲しい」、「あれはいらない」、「あなたは親にいくらもらったじゃないか」等等、昨日まで一緒の家族や親族であった者とのそういった協議にストレスが溜まり、うんざりすることもあります。
そういった「争族」を避けたい方には、遺産分割協議を行う必要のない遺言書を遺すことをお勧めします。
1. 遺言書を遺した方が良い方とは
次に当てはまる方は、遺言書を遺した方が良いでしょう。
生涯独身を貫き、子供もいない方
このような方が亡くなられた場合、遺産は、通常、ご兄弟で遺産を分割取得することになります。他府県に住まわれているご兄弟との連絡が途切れている場合もあります。戸籍や附票で住所を調べて、手紙を出すことは出来ますが、一堂に会して遺産分割協議をするには、大変な費用と時間が必要ですので、遺言を書いておくことは、残された家族にとってメリットがあります。
特定の財産を特定の人に渡したい方
「この財産は、特定の人(法人)に受け取って欲しい」というような希望をお持ちの方は、それを遺言に遺すことによって遺言者の希望を叶えることができます。
遺産を特定の他人や法人に渡したい方
生涯孤独で生活してこられた方は、相続人がいないケースもあると思います。又は、親も兄弟も甥や姪もいなくなったという方もいらっしゃるかもしれません。そのような方は、相続人以外で、親切に面倒をみてくれた特定の方(近所の〇〇さん、遺留分が認められていない自分の兄弟や甥・姪等)や社会福祉施設や病院などに遺産を贈与することも可能です。そうすることによって、面倒をみてくれた方への感謝の気持ちを表したり、遺産を有効に活用してもらうことができます。
特定の子に遺産を渡したくない方
親に対する感謝を忘れ、相続人となる子が、親の言うことを聞かなかったり、親を馬鹿にしたり、介護が必要な親の面倒を看なることも珍しくありません。それは、その子の数十年に渡る人生経験が影響している場合もあり、あるいは、その子の配偶者の入れ知恵が原因である場合もあります。どうしても特定の子には遺産を水でほしくないという方がいらっしゃれば、遺言を遺すことをお勧めします。
しかし、注意しなければならないことは、「遺留分」です。相続人は生まれながらに遺留分(法定相続分の2分の1。ただし、結遺言者の兄弟や甥、姪に遺留分は認められません。)という権利を持っていますので、たとえ遺言ですべての財産を1人の相続人に相続させると記述しても、遺言通りの希望が通らない場合があります。遺留分を侵害された相続人は、遺留分を取り戻すこと(「遺留分侵害額請求」)ができます。全ての財産を一人の相続人だけに相続させるという内容の遺言は禍根を残す恐れがあることに留意して下さい。
しかし、注意しなければならないことは、「遺留分」です。相続人は生まれながらに遺留分(法定相続分の2分の1。ただし、結遺言者の兄弟や甥、姪に遺留分は認められません。)という権利を持っていますので、たとえ遺言ですべての財産を1人の相続人に相続させると記述しても、遺言通りの希望が通らない場合があります。遺留分を侵害された相続人は、遺留分を取り戻すこと(「遺留分侵害額請求」)ができます。全ての財産を一人の相続人だけに相続させるという内容の遺言は禍根を残す恐れがあることに留意して下さい。
配偶者はいるが、子がいない方
このような方の相続人は、配偶者及び遺言者の両親、又は配偶者及び遺言者の兄弟姉妹となります。多くの場合、ご兄弟姉妹が相続人になるケースが多いです。
(1)と同様に、他府県に住んでいる兄弟姉妹や甥・姪と一堂に会して遺産分割協議をすることは現実的とは思われませんので、遺言を書いておくことは、残された配偶者やご兄弟姉妹の皆さんにとって大変メリットがあります。
(1)と同様に、他府県に住んでいる兄弟姉妹や甥・姪と一堂に会して遺産分割協議をすることは現実的とは思われませんので、遺言を書いておくことは、残された配偶者やご兄弟姉妹の皆さんにとって大変メリットがあります。
家族の関係が希薄又は関係がぎくしゃくしている方
親と子供の関係、子供同士の関係が良くない、もしくは遺産分割協議で揉めることが予想される場合は、遺言書を遺されることをお勧めします。遺産分割協議は、一旦もめだすと数年かかることもあり、調停や裁判になることもあります。大変なストレスと弁護士に依頼すれば多くの費用を覚悟しなければなりません。
自分が亡くなった後家族がもめることを望まない方は、遺言書を作成しておくと、比較的スムーズに行きます。
自分が亡くなった後家族がもめることを望まない方は、遺言書を作成しておくと、比較的スムーズに行きます。
2. 遺言に書くことができる内容(遺言事項)は何か?
財産に関すること
① 相続分の指定又は指定の委託:相続人ごとに法定相続分と異なる相続分を指定できます。
② 遺産分割方法の指定又は指定の委託:遺産分割の方法の指定や、その指定を第三者に指定して委託できます。
③ 遺贈:相続人を問わず財産の全部又は一部を無償で譲与することができます。
④ 遺産分割の禁止:5年以内の期間で、遺産の全部又は一部の分割を禁止することができます。
⑤ 信託の設定:通常、財産の信託は契約で締結しますが、遺言で設定することもできます。
⑥ 財産の拠出(寄付や財団法人の設立):自アダン法人など緒設立委必要な寄付を遺言ですることができます。
⑦ 特別受益の持ち戻しの免除:遺贈や生前贈与した財産を相続財産に算入しない意思を表示することができます。
⑧ 相続人の担保責任の指定:相続した財産やさいけんについて相続分に応じた責任がありますが、それを変更することができます。
⑨ 慰留分侵害額緒負担割合の指定:受遺者が複数いる場合の遺留分侵害額請求音負担割合についてしてすることができます。
⑩ 生命保険受取人の指定:生命保険金の受受取人を保険契約とは別に指定又は変更することができます。
② 遺産分割方法の指定又は指定の委託:遺産分割の方法の指定や、その指定を第三者に指定して委託できます。
③ 遺贈:相続人を問わず財産の全部又は一部を無償で譲与することができます。
④ 遺産分割の禁止:5年以内の期間で、遺産の全部又は一部の分割を禁止することができます。
⑤ 信託の設定:通常、財産の信託は契約で締結しますが、遺言で設定することもできます。
⑥ 財産の拠出(寄付や財団法人の設立):自アダン法人など緒設立委必要な寄付を遺言ですることができます。
⑦ 特別受益の持ち戻しの免除:遺贈や生前贈与した財産を相続財産に算入しない意思を表示することができます。
⑧ 相続人の担保責任の指定:相続した財産やさいけんについて相続分に応じた責任がありますが、それを変更することができます。
⑨ 慰留分侵害額緒負担割合の指定:受遺者が複数いる場合の遺留分侵害額請求音負担割合についてしてすることができます。
⑩ 生命保険受取人の指定:生命保険金の受受取人を保険契約とは別に指定又は変更することができます。
身分に関すること
① 認知:非嫡出子について父親が遺言で認知することができます。
② 相続人の廃除又はその取消:著しいい非行などがあった相続人の相続権を奪うことを家庭裁判所に申立する内容です。
③ 未成年後見人の指定及びその未成年後見監督人の指定:未成年の親権者が誰もいなくなった場合に備えて、遺言で指定することができます。
② 相続人の廃除又はその取消:著しいい非行などがあった相続人の相続権を奪うことを家庭裁判所に申立する内容です。
③ 未成年後見人の指定及びその未成年後見監督人の指定:未成年の親権者が誰もいなくなった場合に備えて、遺言で指定することができます。
遺言執行に関すること
① 遺言執行者の指定又は指定の委託:遺言執行者は家庭裁判所で選任することも出来ますが、遺言で指定することもできます。
② 祭祀承継者の指定:相続財産とは別に、祭具(仏壇、位牌など)やお墓等の祭祀財産は地域の慣習に従って祭祀承継者が承継しますが、遺言で祭祀承継者を指定することもできます。
③ 相続準拠法の適用の指定:外国籍の方の相続は、原則としてその方の本国法の規定に従いますが、日本の法律が適用できる場合があり、自分の相続に関して準拠する国を指定することができます。
② 祭祀承継者の指定:相続財産とは別に、祭具(仏壇、位牌など)やお墓等の祭祀財産は地域の慣習に従って祭祀承継者が承継しますが、遺言で祭祀承継者を指定することもできます。
③ 相続準拠法の適用の指定:外国籍の方の相続は、原則としてその方の本国法の規定に従いますが、日本の法律が適用できる場合があり、自分の相続に関して準拠する国を指定することができます。
3.遺言の種類とメリット・デメリット
どんな種類の遺言を作成するか考えましょう。利点欠点があります。
自筆証書遺言
遺言者が全文・日付・氏名を自書し、押印(認印可)することによって作成される遺言書をいいます(民法968条1項)。
メリット:相続財産目録については自署不要とされています(同条2項・最近の改正条項)ので、本文だけの自署で作成できます。
デメリット:決められた方式に従わないものは無効になります。自分で全て記述する必要がありますので、高齢の方はやや困難かもしれません。また、遺言書の隠蔽や破棄・修正などの不正を防止することが非常に重要になります。
また、自筆証書遺言は、遺言者が亡くなられたならば、裁判所に持参して検認を受けなければ、効力を発揮しません。
現在では、自筆証書遺言の書換・破棄・隠蔽を防止するため、法務局で自筆証書遺言を保管できる制度ができましたので、自筆証書遺言を作成される場合は、併せて法務局で保管手続をお勧めします。法務局で保管された遺言は、「検認」手続なしで、遺言の効力を発揮します。(公正証書遺言と同様です。)
メリット:相続財産目録については自署不要とされています(同条2項・最近の改正条項)ので、本文だけの自署で作成できます。
デメリット:決められた方式に従わないものは無効になります。自分で全て記述する必要がありますので、高齢の方はやや困難かもしれません。また、遺言書の隠蔽や破棄・修正などの不正を防止することが非常に重要になります。
また、自筆証書遺言は、遺言者が亡くなられたならば、裁判所に持参して検認を受けなければ、効力を発揮しません。
現在では、自筆証書遺言の書換・破棄・隠蔽を防止するため、法務局で自筆証書遺言を保管できる制度ができましたので、自筆証書遺言を作成される場合は、併せて法務局で保管手続をお勧めします。法務局で保管された遺言は、「検認」手続なしで、遺言の効力を発揮します。(公正証書遺言と同様です。)
公正証書遺言
公証人が遺言者の口授内容を筆記し、遺言者および証人2名以上が署名・押印することによって作成される遺言書をいいます(民法969条1項)。
メリット:公正証書遺言は公文書であり、証明力(証拠としての価値)が非常に高く、破棄・隠蔽などの心配がありません。また、紛失した場合には、謄本を再度発行してもらえることも特徴です。
デメリット:作成時に、公証人に手数料を支払う必要があります。
メリット:公正証書遺言は公文書であり、証明力(証拠としての価値)が非常に高く、破棄・隠蔽などの心配がありません。また、紛失した場合には、謄本を再度発行してもらえることも特徴です。
デメリット:作成時に、公証人に手数料を支払う必要があります。
秘密証書遺言
遺言者が作成(自署でも、ワープロでも、代筆でも可)・署名・押印した証書を封じ、その封書を公証人に提出したうえで必要事項の記載を受け、さらに遺言者および証人2名以上が封書に署名・押印することによって作成される遺言書をいいます(民法970条1項)。
4.お勧めの遺言方式は何か
何といっても、証明力が高い公正証書遺言です。
特に、高齢の遺言者にとって自筆で数枚の遺言を書くということは、とても大変なことと思います。高齢で氏名を書くことがやっとという方もいれば、手が不自由な方は文字を書くこともできないと思います。そのような方でも、私(行政書士)に遺言に書きたい内容を伝えることで、遺言書のたたき台を作成しますので、そのたたき台を見て、修正や加筆を行いながら、遺言書の内容を作り上げることができます。遺言書の案文が出来上がったならば、私(行政書士)が公証人と事前調整を行い、公証人から遺言書の原案及び遺言書作成日時が提示されます。提示された遺言書原案は、遺言者様にお届けしますので、内容の確認をお願いします。
遺言書作成当日、遺言者様は、指定された日時に、実印と身分証明証(免許証又はマイナンバーカード等)を持参して、公証役場で公正証書遺言書を作成します。所要時間は、約1時間程度です。
遺言書を作成する場には、公証人、証人2人及び遺言者が同席します。最初は、公証人から、遺言者様に、住所・氏名、生年月日や親族の方についての質問があります。これは、遺言者本人の確認と遺言者の遺言能力を確認するための質問です。次に、遺言内容について、質問がありますので、どの財産を誰に渡すか等を答えて下さい。その後、遺言書の原案を読み上げ、記載内容について一字一句の確認が行われます。記載内容について問題なければ、遺言書に署名及び捺印をして、公証人が正本と謄本を作成します。その後、公証人に手数料を支払えば、遺言書作成が完了します。手数料は、遺言書に記載する財産の額や内容にもよりますが、通常は、5万円程度です。
また、遺言は書きたいが、公正証書にすると費用が掛かるとお考えの方もいらっしゃいます。そのような方には、自筆証書遺言書の起案も承ります。起案文を作成するまでは、公正証書遺言と同様に、起案文について何度かやり取りをして遺言書案を作り上げます。その後は、その遺言書案を見ながら、ご自分で自筆で遺言を書いていただきます。
自筆証書遺言が完成したならば、お近くの法務局で遺言書の保管をすることができます。法務局に支払う費用(収入印紙代)は3900円です。公正証書を作成するよりはるかに安価です。自筆証書遺言を書かれた方には、遺言の保管をお勧めします。
特に、高齢の遺言者にとって自筆で数枚の遺言を書くということは、とても大変なことと思います。高齢で氏名を書くことがやっとという方もいれば、手が不自由な方は文字を書くこともできないと思います。そのような方でも、私(行政書士)に遺言に書きたい内容を伝えることで、遺言書のたたき台を作成しますので、そのたたき台を見て、修正や加筆を行いながら、遺言書の内容を作り上げることができます。遺言書の案文が出来上がったならば、私(行政書士)が公証人と事前調整を行い、公証人から遺言書の原案及び遺言書作成日時が提示されます。提示された遺言書原案は、遺言者様にお届けしますので、内容の確認をお願いします。
遺言書作成当日、遺言者様は、指定された日時に、実印と身分証明証(免許証又はマイナンバーカード等)を持参して、公証役場で公正証書遺言書を作成します。所要時間は、約1時間程度です。
遺言書を作成する場には、公証人、証人2人及び遺言者が同席します。最初は、公証人から、遺言者様に、住所・氏名、生年月日や親族の方についての質問があります。これは、遺言者本人の確認と遺言者の遺言能力を確認するための質問です。次に、遺言内容について、質問がありますので、どの財産を誰に渡すか等を答えて下さい。その後、遺言書の原案を読み上げ、記載内容について一字一句の確認が行われます。記載内容について問題なければ、遺言書に署名及び捺印をして、公証人が正本と謄本を作成します。その後、公証人に手数料を支払えば、遺言書作成が完了します。手数料は、遺言書に記載する財産の額や内容にもよりますが、通常は、5万円程度です。
また、遺言は書きたいが、公正証書にすると費用が掛かるとお考えの方もいらっしゃいます。そのような方には、自筆証書遺言書の起案も承ります。起案文を作成するまでは、公正証書遺言と同様に、起案文について何度かやり取りをして遺言書案を作り上げます。その後は、その遺言書案を見ながら、ご自分で自筆で遺言を書いていただきます。
自筆証書遺言が完成したならば、お近くの法務局で遺言書の保管をすることができます。法務局に支払う費用(収入印紙代)は3900円です。公正証書を作成するよりはるかに安価です。自筆証書遺言を書かれた方には、遺言の保管をお勧めします。
5.遺言作成の流れ
① まず、遺言者が亡くなった時に、誰が自分の相続人になるかを調査(推定相続人の調査)する。
遺言者は、自分が亡くなった時の相続人は予想できますが、婚外子の有無などについても調査しておく必要があります。遺言を作成する場合には、遺留分についての配慮が必要です。
慰留分とは、法律で保障されている一定割合の相続分を言い、その割合は、法定相続分の2分の1です。ただし、遺言者の兄弟姉妹には遺留分はありません。
相続人間の仲が悪かったり、過去にもめごとがあったりした場合には、その相続人に財産を渡したくないと思われる方もいますが、遺留分に対する配慮がない場合には、遺留分を侵害された相続人から遺留分が請求される場合がありますので、遺言通りに遺産が分割されないという問題が生じることがあります。
一家の大黒柱がいなくなると、相続人間でのまとまりがつかなくなり、遺産分割に年月を要することがあることにも留意しておきましょう。
従いまして、婚外子がいる方や再婚された方、養子縁組をされた方は、自分が亡くなった時に、誰が相続人になるのかを戸籍を取得して確認することが重要です。
② 財産調査をする。
遺言書に記載する財産を調査します。預貯金であれば、通帳を記帳して、金融機関名、支店名、預貯金の種別、口座番号、残高などを記録します。その他の株式や債券があるかたは、その内容を確認します。車がある方は、車の車検証を確認し、評価額を調べます。自動車の評価額は、インターネットで同種同型の販売価格でも凡その額を調べることができます。忘れがちなのは、債務です。ローンや借金がある方は、財務残高を調べます。リース契約をされている方は、その残高を調べます。
不動産は、役場で、名寄帳を取得して、名寄帳に載っている不動産の登記簿を取得します。これにより、遺言者名義の不動産及びその評価額を知ることができます。毎年春に役所から郵送される固定資産税納税通知書には、課税されている不動産しか記載されていませんので、必ず名寄帳と登記簿で確認してください。
③ 相続人が判明し、財産を把握したなら、次は誰にどの財産を相続させるか、又は遺贈するかを決めます。
財産を渡す相手が、相続人であれば「相続させる」、財産を渡す相手が、相続人以外であれば「遺贈する」と記述します。
特定の財産を特定の者に渡す遺言であれば、その内容だけを遺言として記載すればよいのですが、遺言に記載した財産に漏れがあった場合は、遺言に記載していない財産は、遺産分割協議をしなければ、相続手続きが完了しません。遺言を書く際には、そのことにも注意しなければなりません。
④ 遺言執行者を誰にするか決めます。
遺言執行者は、遺言書に書かれた内容を実現するために、遺言者の死後に手続きを行う人を言います。遺言執行者は、相続に関する手続きを単独で進める権限を持ちます。
遺言執行者は、破産者や未成年でない限り指定できますが、銀行口座の解約や不動産の登記手続などを行うため、少なからず法的な知識がある者を指定すると良いでしょう。一方、遺言執行者には、補助者をしていすることができますので、遺言執行者が登記手続きをしなくても、司法書士に依頼することは可能です。
遺言執行者を指定しなくても良い場合もありますが、指定しておいた方が無難です。
弁護士や司法書士など専門家を指定することも出来ますが、報酬の支払いを避けたい場合は、財産を受け取る相続人を遺言執行者に指定するケースも多いです。
⑤ 遺言書の概案を作成したら、遺言書としての体裁を整えるため、遺言者の考えと記述内容が一致しているかを専門家にチェックしてもらいます。
その際、加筆したほうが良い内容や、記述方法について、アドバイスをもらうことができます。
⑥ 遺言書の案が出来たら、公証人に公正証書遺言作成に必要な戸籍や住民票、印鑑証明書、財産目録などと一緒に遺言書案を提出して、事前チェックをしてもらいます。
⑦ 後日、公証人の事前チェックが終わった公正証書遺言書原案及び公証人手数料の見積りを受け取ります。
⑧ 指定された日時に、遺言者の身分証明書(マイナンバーカードや運転免許証)、実印、公証人手数料を持参して、公証役場に出向きます。
遺言者は、自分が亡くなった時の相続人は予想できますが、婚外子の有無などについても調査しておく必要があります。遺言を作成する場合には、遺留分についての配慮が必要です。
慰留分とは、法律で保障されている一定割合の相続分を言い、その割合は、法定相続分の2分の1です。ただし、遺言者の兄弟姉妹には遺留分はありません。
相続人間の仲が悪かったり、過去にもめごとがあったりした場合には、その相続人に財産を渡したくないと思われる方もいますが、遺留分に対する配慮がない場合には、遺留分を侵害された相続人から遺留分が請求される場合がありますので、遺言通りに遺産が分割されないという問題が生じることがあります。
一家の大黒柱がいなくなると、相続人間でのまとまりがつかなくなり、遺産分割に年月を要することがあることにも留意しておきましょう。
従いまして、婚外子がいる方や再婚された方、養子縁組をされた方は、自分が亡くなった時に、誰が相続人になるのかを戸籍を取得して確認することが重要です。
② 財産調査をする。
遺言書に記載する財産を調査します。預貯金であれば、通帳を記帳して、金融機関名、支店名、預貯金の種別、口座番号、残高などを記録します。その他の株式や債券があるかたは、その内容を確認します。車がある方は、車の車検証を確認し、評価額を調べます。自動車の評価額は、インターネットで同種同型の販売価格でも凡その額を調べることができます。忘れがちなのは、債務です。ローンや借金がある方は、財務残高を調べます。リース契約をされている方は、その残高を調べます。
不動産は、役場で、名寄帳を取得して、名寄帳に載っている不動産の登記簿を取得します。これにより、遺言者名義の不動産及びその評価額を知ることができます。毎年春に役所から郵送される固定資産税納税通知書には、課税されている不動産しか記載されていませんので、必ず名寄帳と登記簿で確認してください。
③ 相続人が判明し、財産を把握したなら、次は誰にどの財産を相続させるか、又は遺贈するかを決めます。
財産を渡す相手が、相続人であれば「相続させる」、財産を渡す相手が、相続人以外であれば「遺贈する」と記述します。
特定の財産を特定の者に渡す遺言であれば、その内容だけを遺言として記載すればよいのですが、遺言に記載した財産に漏れがあった場合は、遺言に記載していない財産は、遺産分割協議をしなければ、相続手続きが完了しません。遺言を書く際には、そのことにも注意しなければなりません。
④ 遺言執行者を誰にするか決めます。
遺言執行者は、遺言書に書かれた内容を実現するために、遺言者の死後に手続きを行う人を言います。遺言執行者は、相続に関する手続きを単独で進める権限を持ちます。
遺言執行者は、破産者や未成年でない限り指定できますが、銀行口座の解約や不動産の登記手続などを行うため、少なからず法的な知識がある者を指定すると良いでしょう。一方、遺言執行者には、補助者をしていすることができますので、遺言執行者が登記手続きをしなくても、司法書士に依頼することは可能です。
遺言執行者を指定しなくても良い場合もありますが、指定しておいた方が無難です。
弁護士や司法書士など専門家を指定することも出来ますが、報酬の支払いを避けたい場合は、財産を受け取る相続人を遺言執行者に指定するケースも多いです。
⑤ 遺言書の概案を作成したら、遺言書としての体裁を整えるため、遺言者の考えと記述内容が一致しているかを専門家にチェックしてもらいます。
その際、加筆したほうが良い内容や、記述方法について、アドバイスをもらうことができます。
⑥ 遺言書の案が出来たら、公証人に公正証書遺言作成に必要な戸籍や住民票、印鑑証明書、財産目録などと一緒に遺言書案を提出して、事前チェックをしてもらいます。
⑦ 後日、公証人の事前チェックが終わった公正証書遺言書原案及び公証人手数料の見積りを受け取ります。
⑧ 指定された日時に、遺言者の身分証明書(マイナンバーカードや運転免許証)、実印、公証人手数料を持参して、公証役場に出向きます。
6.遺言作成で注意すべきポイント
1. 遺言は、15歳に達した方は作成できます。
2. 遺言書は、公証人役場以外の場所でも作成することができます。ただし、交通費や日当が別途掛かります。
3. 遺言書は、言葉が不自由な方、字が書けない方でも作成することができます。
4. 高齢の方が遺言を作成する場合は、遺言能力に疑念を持たれないよう遺言能力に関する診断書を取得されることをお勧めします。高齢の方が公正証書遺言を作成する場合には、公証人から提出を求められる場合が多いです。
5. 遺言書に記載されていない財産は、遺言者が亡くなられた後、相続人の間で遺産分割協議によって分割されます。従いまして、争族(残された相続人の間での争い)を心配される方は、全ての財産を記載されたほうが良いと考えます。
6. 遺言書は、後日、何度でも書き直すことができます。
7. 書き直す時は、一部分だけを書き直すことも可能ですが、錯誤が無いよう新たに作り変える方が無難です。
8. 遺留分を心配される方は、付言事項((法的拘束力はありませんが、遺言者の遺志を自由に書くことができます。)として、遺言者の遺志を記載することも可能です。
9. 遺言書を遺されたとしても、相続人全員の合意があれば、遺産分割協議を行って、遺言書とは異なる分割内容で遺産を分割することが可能です。
10. 「相続させる」遺言は、財産を受ける相続人が自分で金融機関の解約や名義変更、不動産の登記手続を行うことができますが、「遺贈する」遺言を書かれた場合には、遺言執行者の記載がなければ、裁判所に遺言執行者を選任する為の申立てが必要になりますので、「遺贈する」遺言書を書かれる場合は、遺言書の中で遺言執行者を指定されることをお勧めします。
11. 自筆遺言を作成する場合には、遺言作成後、法務局での遺言の保管をお勧めします。法務局で保管手続をすることで、家庭裁判所での自筆遺言書の「検認」手続きを省略することができるだけでなく、相続人などによる偽造や変造、破棄や隠蔽などの心配がありません。
12. 遺言書を紛失しても、公正証書遺言であれば、公証役場でその謄本を取得することができます。また、保管された自筆証書遺言であれば、法務局で遺言書情報証明書を取得することができます。
13. 保管制度を利用していない自筆証書遺言書や、秘密証書遺言書は、原本を紛失した場合は再度の遺言が必要であり、遺言者の遺志を確認することはできません。
2. 遺言書は、公証人役場以外の場所でも作成することができます。ただし、交通費や日当が別途掛かります。
3. 遺言書は、言葉が不自由な方、字が書けない方でも作成することができます。
4. 高齢の方が遺言を作成する場合は、遺言能力に疑念を持たれないよう遺言能力に関する診断書を取得されることをお勧めします。高齢の方が公正証書遺言を作成する場合には、公証人から提出を求められる場合が多いです。
5. 遺言書に記載されていない財産は、遺言者が亡くなられた後、相続人の間で遺産分割協議によって分割されます。従いまして、争族(残された相続人の間での争い)を心配される方は、全ての財産を記載されたほうが良いと考えます。
6. 遺言書は、後日、何度でも書き直すことができます。
7. 書き直す時は、一部分だけを書き直すことも可能ですが、錯誤が無いよう新たに作り変える方が無難です。
8. 遺留分を心配される方は、付言事項((法的拘束力はありませんが、遺言者の遺志を自由に書くことができます。)として、遺言者の遺志を記載することも可能です。
9. 遺言書を遺されたとしても、相続人全員の合意があれば、遺産分割協議を行って、遺言書とは異なる分割内容で遺産を分割することが可能です。
10. 「相続させる」遺言は、財産を受ける相続人が自分で金融機関の解約や名義変更、不動産の登記手続を行うことができますが、「遺贈する」遺言を書かれた場合には、遺言執行者の記載がなければ、裁判所に遺言執行者を選任する為の申立てが必要になりますので、「遺贈する」遺言書を書かれる場合は、遺言書の中で遺言執行者を指定されることをお勧めします。
11. 自筆遺言を作成する場合には、遺言作成後、法務局での遺言の保管をお勧めします。法務局で保管手続をすることで、家庭裁判所での自筆遺言書の「検認」手続きを省略することができるだけでなく、相続人などによる偽造や変造、破棄や隠蔽などの心配がありません。
12. 遺言書を紛失しても、公正証書遺言であれば、公証役場でその謄本を取得することができます。また、保管された自筆証書遺言であれば、法務局で遺言書情報証明書を取得することができます。
13. 保管制度を利用していない自筆証書遺言書や、秘密証書遺言書は、原本を紛失した場合は再度の遺言が必要であり、遺言者の遺志を確認することはできません。
7.面接時に持参していただきたい書類等
(1) 遺言者様本籍地(あれば、戸籍をご持参ください。)
(2) 財産を受ける方の住民票上の住所(あれば、住民票をご持参ください)
(3) 遺言書に記載したい財産に関する資料(預貯金の通帳、固定資産納税通知書、車検証、保有する株引に関する資料(証券会社からの郵便物や法人の決算書など)、債務内容を記載
した資料(支払督促のハガキ、債務の契約書など)
(2) 財産を受ける方の住民票上の住所(あれば、住民票をご持参ください)
(3) 遺言書に記載したい財産に関する資料(預貯金の通帳、固定資産納税通知書、車検証、保有する株引に関する資料(証券会社からの郵便物や法人の決算書など)、債務内容を記載
した資料(支払督促のハガキ、債務の契約書など)